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2012.03.05 (Mon)

第十話『手からこぼれおちるもの』

今週末はわたできですね!
わたできの告知等は週末にしようかな、と思っているのですが、今回、試験と重なったもので個人誌は準備できませんでした…代わりにというわけではないですがゲストを書かせて頂きました。
そのあたりの告知も週末にしますー!

今日は「もしもストライクウィッチーズに3期があったら?」というコンセプトで書いているものの十話になります。
一~九話まではこちらからご覧ください。
第1話 三度、空へ 前編
第2話 三度、空へ 後編
第3話 兆
第4話 お願いだから
第5話 継がれる想い
第6話 塔
第7話 譲れないもの、守りたいもの
第8話 sing a song
第9話 Christmas

それでは、続きからどうぞ!
【More・・・】





第十話 手からこぼれおちるもの 

第501統合戦闘航空団の参戦により、カールスラントの東部戦線がネウロイを押しやるようになってから三ヶ月が経過した。
現在、当初見せていた追い上げは停滞し、ネウロイとは静かな睨み合いが続いている。

「ふむ……手詰まりだな」

とは、坂本少佐の言葉。ミーナの執務室に集まったのはミーナ、坂本、バルクホルン、シャーリー、そしてハルトマンだ。

「そうね……」

とはミーナの言。ううむ、とバルクホルンは唸った。

「カールスラントは既に冬に突入している。このまま戦線が長引けば私たちに不利かもしれないな」

シャーリーが冷静に状況を分析する。
寒さに慣れているエイラやサーニャはいいのだが、この寒さでは他のウィッチたちは上手く動くことができない。
それでも寒さに関係なくネウロイの攻撃は続く。
春が来れば状況はまた変わるのだが、いかんせん、まだ春は遠い。
それに、このまま長引くと……。
ハルトマンとシャーリーは同じことを思ってそっとバルクホルンを見た。


***


ふぅ、とヘルマはため息をついた。格納庫で自分のストライカーユニットを整備しながらヘルマはにやにやとした顔をしている。
昨日の戦闘ではこの隊に来て初めての戦果をあげてバルクホルンに誉められた。バルクホルンは搭乗割に載っていなかったから、直接見てもらえなかったのが残念だ。
へへへ、とヘルマは撫でられた頭を再度撫でた。
頭を洗いたくないくらいだ、と言ったらペリーヌに風呂に放り込まれてしまった。宮藤が「あれ、でも、坂本さんに撫でられたとき、ペリーヌさんも似たようなこと言ってなかったですっけ」なんて天然なことを言うものだから「お黙りなさい豆だぬき!」なんてやりとりがあってヘルマとリーネを困らせたりした、そんな一幕もあったのだけれど。
ヘルマはにやにやしていた顔を元に戻し、ふぅ、と今度は違う種類のため息をつく。
最近、バルクホルンの元気がない。
二ヶ月ほど前に休暇を取って帰ってきたときはすごく元気そうで……いや、あれはそれとは種をことにするものだろうか、とヘルマは考え込む。
冷静な中で的確な攻撃を行う正確無比な戦い方は変わらないのだけれど、それにさらに磨きがかかっているように思う。その冴えは見ているこっちが怖くなるほどのもので、それは、まるで。
ごくり、とヘルマはつばを飲んだ。
なんというのだろう、覚悟、しているみたいだった。
上手く言い表せない。けれど、それがヘルマの感じたことだった。
―ユニットの整備に戻ろう。こんな考えにふけっている状態ではユニットを変にしかねない―
気合を入れなおした、そのときだった。

がたん。

物音にヘルマはびくりと反応する。
今はまだ起床時間前だ、あと二十分ほどは誰も来ないだろうと思っていたのだけれど。
そう思って誰だろうとそっと覗いてみれば憧れのバルクホルンだった。おはようございます、そう声をかけようとしたら、バルクホルンの後ろからもう一人格納庫に入ってきた。
咄嗟にヘルマは身を隠す。
隠した後で(あれ? なんで私、隠れているんだろう)なんて思うけれど、出て行くタイミングを完全に逸してしまった。

「今日も頼む、リベリアン」
「ああ」

二人目はシャーリーだった。
二人ともストライカーユニットを履くとぎゅん、と空に舞い上がる。早朝訓練だろうか。
ヘルマはバルクホルンの訓練が見られるまたとない機会にそっと格納庫を抜け出して二人の様子をじっと観察する。
そうなのだ、バルクホルンは戦闘隊長になったからか、最近、隊全体で行う訓練には教官としてしか参加しないのだ。戦闘も極力シャーリーに任せていて、もっぱら戦場における指示を行っている。
なぜだろう、そう思っていた。答えは目の前にあった。
バルクホルンの軌道がいまいち悪いのだ。バルクホルンの飛行は何度も何度も見てきたヘルマだ。様子がおかしい。普段のバルクホルンであればあと二テンポは速くターンをしているはずなのに。
シャーリーと左右対称になるようにして飛んでいる形なので変化はより顕著に見えた。

―体調でも悪いのかな―

そうも、思った。だけど、ヘルマはすぐに思い至る。バルクホルンと同い年のミーナが既にあがりを迎えていることを。そこから連想される、バルクホルンの不調の理由。
もしかして。もしかして。
考えたくもないことだった。だって、ヘルマにとってバルクホルンは理想のウィッチだ。この人のようになりたいと思ってウィッチとして頑張っていると言っても過言ではないのだ。私の目標であり、道を照らしてくれた存在。それが、この空からいなくなるかもしれないなんて。

二人が飛行訓練から戻ってくる。ヘルマは身動きできずにそのまま二人の会話を聞いてしまう。

「……上手くいかないな」
「弱音なんてお前らしくもないぞ」
「ああ……分かってはいるんだが」

バルクホルンとシャーリーは顔を合わせれば喧嘩ばかりだといううわさを聞いていたヘルマはずっと違和感を感じていた。この基地に来てから、二人が喧嘩をするところなど、見たことがなかったからだ。
そういう、理由があったのか。
バルクホルンはストライカーユニットを脱ぐと、格納庫の床に片膝を立てるようにして座り込んだ。空を見上げる横顔がヘルマの位置からは良く見えた。

「私はいつまで飛んでいられるのだろうな」

バルクホルンの呟きにシャーリーは答えなかった。


***


ヘルマは廊下を一人歩いていた。
頭を占めるのは格納庫での一幕。
切なそうに空を見上げるバルクホルンの横顔。
空をこよなく愛するバルクホルンが空から切り離されてしまうとしたら、それはどれほどの苦しみだろう。何か。何か私にできる事はないだろうか。考え。考え。たどり着いた答えは。

―私には、何もできない―

シャーリーみたいに一緒に訓練をするには力不足だし、ハルトマンみたいに気持ちを汲むには一緒にいた時間が短すぎる。

―何も、何も、私はバルクホルン大尉のためにできないんだ―

たどり着いた答えに廊下を歩いていた足が止まる。
やばい、泣きそうだ。
下を向いていては涙を堪えることもできない。でも、上を見上げることもできない。
どうしようもないこの気持ちが爆発する。

「何をしてらっしゃいますの」

……その前に、正面から声をかける人物がいた。ヘルマは驚いて体を振るわせると同時に涙が一滴跳ねた。

「……? あなた、泣いているの?」
「あ、あの、これ、これは……っ!」

上手く言葉にならない。顔を一瞬上げるも、そこに現れたペリーヌの顔を見ることができずに再び顔が下を向く。

「……」
「……」

気まずい沈黙が廊下を包む。
ペリーヌはふぅ、と息をつくと、ヘルマの手をつかんだ。

「いらっしゃい」
「……え、あの」
「……」

どこへ行こうというのか。ペリーヌの行動が分からないまま、ヘルマはペリーヌに連れられていった。
着いたのは自分たちの部屋だった。この基地で一番大きいその部屋は宮藤とリーネ、それにペリーヌとヘルマで使っている。
部屋に備え付けられた二つある二段ベッドの内、片方のベッドにヘルマを座らせるとペリーヌはちょっとそこで待っていなさい、と部屋を出て行った。
部屋に宮藤とリーネはいなかった。ちょうど朝食の時間だ。きっと食事の準備でてんやわんやに違いない。そういえば今日は準備を手伝う約束だったのに、すっぽかしてしまった。後で謝らないと……そんなことを考えている自分が少しおかしくて、でも、気を抜いた瞬間、自分の無力さに涙が出そうであわてて違うことに思考を巡らせていた。

だいたい、自分が無力だと思うこと自体が差し出がましいのだ。
自分など、この隊に入れてもらえただけでも奇跡だというのに、憧れのバルクホルンと一緒の隊にいられるからといって、自分までもが強くなった気でいた、バルクホルンの力になれるなんて思っていた。
だけど、そんなの勘違いで。再び思考が戻ってきてずんずんと気持ちが沈んでいたそのときだった。

がちゃり。

扉が再び開く。
そこに現れたのは、湯気が立ち上る朝食を持ったペリーヌだった。

ペリーヌはヘルマの横に座ると、持っていた朝食のプレートをヘルマに差し出した。

「宮藤さんとリーネさんには言っておきましたわ。まずはお食べなさい」
「は、はい……」

言われるがままにパンを口に運ぶ。けれど、食が思うように進まずに半分も食べずにプレートに戻してしまう。

「……ごめんなさい」

理由のない謝罪にペリーヌは何も言わなかった。
泣いていた理由も聞かない。またも訪れた気まずい沈黙をどうにかしようとヘルマが口を開きかけた瞬間。

「食べることは生きるということよ。今、ネウロイが突然襲撃してきたとしたらあなたは戦えるの? ネウロイにちょっと待った、が通用すると思って? 『ご飯を食べられなかったから戦えませんでした』とでも言うのかしら?」
「……それ、は」

辛辣な言葉だ。答えに躊躇する。だけど、ヘルマは分かっている。そペリーヌの言葉はヘルマを攻撃するためのものではない、と。

「あなたの敬愛するバルクホルン大尉ならこう言うのではないかしら。『備えよ常に』と。気持ちが下を向いていても備えは常にしておくべきよ」
「……」
「あなたが何に悲しんでいるのか、私は聞かないわ。でも、あなたが敬愛するバルクホルン大尉の想いに反することはあなたがあなた自身を許せないのではなくて?」

そう、私がそうであるように。ペリーヌの呟きは小さすぎてヘルマには聞こえなかった。

「私が言いたいことはそれだけ」

ペリーヌが立ち上がる。ヘルマは咄嗟に声を上げた。

「クロステルマン中尉!」
「……」

去ろうとするペリーヌの背中にヘルマは声をかける。

「どうして、ここまでしてくださるんですか?」

同じ部屋になって話すことはあったけれど、そこまで親しい仲でもないはずだ。
くるり、ペリーヌは振り返った。ヘルマの想いに反するように、何を言ってるのかしら? そんな顔をしている。

「仲間が落ち込んでいるときに支えになってあげるのはおかしいかしら?」
「……っ!」

クロステルマン中尉は、私のことを……仲間だと言ってくれた。
501には助っ人として呼ばれただけの私のことを、仲間だと。

「それに……」

ふと、ペリーヌは微笑んだ。思わず見入ってしまいそうな綺麗な笑顔だった。

「あなたは私の後輩に似て泣き虫のようだから……気になってしまったのよ」

ペリーヌはそれを食べて元気になったら午後の訓練から参加なさい。バルクホルン大尉も心配してらしたのだから。そう言い置くと、部屋を出て行った。

「ありがとうございます!」

ヘルマは立ち上がり、ペリーヌが去っていった扉に深々と礼をした。
そして、今一度座ると、残ったパンを少しずつ食べる。スープを飲む。少し冷たくなったスープは今まで食べてきた中で一番おいしかった。


***


ウゥゥゥゥゥ!

サイレンが鳴る。ヘルマははっとして食べていたご飯を置いて走り出した。走りながら涙の跡をごしごしと拭く。
格納庫に着くと、ヘルマとバルクホルン以外の全員が揃っていた。
仁王立ちしていたバルクホルンがくるり、と振り返る。

「遅いぞ、ヘルマ・レンナルツ曹長!」
「はいぃ! 申し訳ありません!」
「……もう、大丈夫か」

ふと、バルクホルンが小さな声で優しく言う。ヘルマは嬉しさに満面の笑みを浮かべた。

「大丈夫です!」
「そうか」

バルクホルンは短く返すと、くるり、と再び全員を向く。

「出撃!」
「「了解!」」

勇ましくストライクウィッチーズが出撃していく。バルクホルンはさて、と独り言を言うと、自分自身もストライカーユニットを履いた。
昨日の今日でネウロイが出現した事もあってか今日はなんだか胸騒ぎがする。夜間哨戒組までも駆り出して出撃させたのはそんな自分の勘を信じてのことだった。戦術や采配は常に理論的に。それを信条にしてきた自分なのにその決定には自分でも驚いたものだったけれど、ミーナや坂本も胸騒ぎがするという。
ウィッチの本能。それが言っているのだ。今日は決戦になるぞ、と。バルクホルンは司令室に通信を入れる。

「ミーナ、坂本少佐」
「分かってる」

バルクホルンの声に応えたのは坂本。

「行ってらっしゃい、トゥルーデ」
「いってくる!」

ぎゅん、と加速に入れるとバルクホルンは空へと飛び出した。


***


ネウロイは大型一体のようだ。鈍い動き、大振りな攻撃。苦戦はしなさそうだ。取り越し苦労だったのだろうか。そんなことを思いながらバルクホルンは指示を出す。

「各自散開! ロッテで連携し、撃破せよ!」

各ウィッチたちが散開していく。最近、変則的なロッテが多かったのだが、今回は以前までの組み合わせに戻している。
ペリーヌとエイラの組み合わせの意外な相性の良さは捨てがたかったのだが、エイラが絶対サーニャと組むんだじゃなきゃ出撃しないぞと、軍人にあるまじき駄々をこね始めたのでしかたなかった。
さっとバルクホルンは戦場に目を走らせる。
エイラとサーニャ、シャーリーとルッキーニ、宮藤とリーネとペリーヌ(ここだけケッテだ)、そして……ハルトマンとヘルマ。
ハルトマンが一番機としてヘルマに指示を出しているのを見て、少しちくん、と胸が痛んだ。何の痛みなのかはわからない。
ふるり、頭を振ると戦場の動きに目を凝らす。
入れ替わり立ち替わりの波状攻撃に早くも黒煙が昇り始めたネウロイ。コアが露出するのも時間の問題だろう。
ぱりん、コアが露出した。リーネが正確な射撃でそのコアを撃ち抜いた。それでおしまいだった。
こんなものか。
バルクホルンはふぅ、と息をつく。
今回の戦闘はネウロイの巣の間近で行われた。だから本能的にやばいと思ったのだろうか。
そっとネウロイの巣がある方向を見遣る。手を伸ばせば届きそうだ。
カールスラントの最東方。バルクホルンの故郷がある方向に。故郷の西岸にでかい顔をしている黒々としたそれはロマーニャで見たネウロイの巣と同型だ。
いつか。いつかきっと。ぐっと拳を握り、目をつぶる。

「トゥルーデ!」
「え?」

突然の声に驚いて瞳を開くと、視界は真っ赤に染められていた。

「うあっ」

咄嗟に身を捻ったけれど、脇腹が熱くなる。
ネウロイの熱線を避け切れなかったのだと気付いたときには重力に逆らえなくなっていた。
かすんでいく視界の中に見えたものは、熱線が尾を引いて消えていった様と、それを放ったと思しきネウロイの巣、そして、遠い遠い空だった。



(to be continued...)


と、いうわけで10話でした!
残りはあと1話。劇場版の前に更新したいと思っています。

少佐に熱を上げるペリーヌも好きですが、後輩を見守るポジションのペリーヌも好きです。

人の想いも抱えて飛ぶって部活の引退の時みたいだなぁと関係ないことを思ってみたり。




拍手返信です。

まさきさん
3兄弟の一番上なのですねー、なんだか賑やかそうです。なかなかトゥルーデとクリスみたいな兄弟姉妹はいないと思いますが、年齢がある程度離れているからこその関係なのかもしれませんね!
ミーナの後は…国は違いますがペリーヌがその位置なのかなぁと思います。エーリカは指揮をとるというよりは先頭に立ちそうな気がして!
ハイデマリーさんに赤ズボンにとほんと勢ぞろいな感じになりそうですよね! 私的にはアンジーも見たいなぁなんて思ってますw

コメントありがとうございました!



劇場版の公式サイトの隊員名簿に突撃すべし~の方
すごくポテンシャルの高いキャラですよね。
劇場版でどういう風に他のキャラと絡んでいくのか…そしてトレーラーにあった
「宮藤さんのことを尊敬してます」が「宮藤さんは正しくない」的な方向に変わっていくきっかけが非常に気になります!

コメントありがとうございました!


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