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2012.02.12 (Sun)

第九話 『Christmas』

題名が…季節外れというわけではありませんがちょっとずれてますね(笑)!
「ストライクウィッチーズの3期があったらこんな感じかな」という妄想を書いたシリーズものです。
全部で11話なのであと2話で終わりです。
劇場版公開前に載せ終わりたいなーと思ってます。

第1話 三度、空へ 前編
第2話 三度、空へ 後編
第3話 兆
第4話 お願いだから
第5話 継がれる想い
第6話 塔
第7話 譲れないもの、守りたいもの
第8話 sing a song

劇場版と言えば予告編が更新されましたね! 待ってました! トゥルーデ…は、飛んでるけど台詞がない!?
豆フィギュアもない…いや、ここからの情報公開に期待したいところです。

それでは、続きから第9話どうぞ! バルクホルン姉妹の話です。
【More・・・】



第九話  Christmas

びゅう、と風を切る音がする。私はいつもの様にストライカーユニットを履いて空を駆けていた。
一緒に飛んでいるのはハルトマンとシャーリー、そしてミーナだ。

「トゥルーデ、それ以上先に行くと危ないよ」

そんな声がハルトマンから飛んでくる。
危ないよといわれても止まらないのだ、止まれないくらい、今の私の体は軽い、絶好調だ。

「お前、無茶なことはしないんじゃなかったのかよ、私との約束はどうしたんだよ」

シャーリーが声を上げている。
約束は忘れてないさ。でもほら、見てくれ。こんなにも体が軽い。やっぱりあの時、魔力が減退してきたかもしれないと思ったのは間違いで、ただ体調が悪かっただけなんだ。

「……トゥルーデ!」

最後にミーナの声が聞こえる。

「え?」

気付いたときには頭が地面のほうに向いていた。
体が言うことを聞かない。
なんで、さっきまでちゃんと飛べてたはずなのに。

堕ちる、堕ちる、堕ちる。

「うあああああ!」

私は叫んだ。



「うあああああ!」

私はがばりと起き上がった。
自分の声に驚いたこともある。けれど何より堕ちるという生々しい体験が感触として体の中に残っていて、私の心臓は早鐘を打つようだった。

「はぁ、はぁ……」

息が荒いので無理矢理に整える、ふーっ、ふーっ、徐々に落ち着いてくると今度はどっと疲れを感じた。
私は震える手で額を押さえた。
くらくらする。今が夢か現か分からなくなる。現実味が欲しくて部屋の反対側を見てみると、荷物で姿は見えないながらその寝息から判断するに同室のあいつは寝ているようだ。
ふぅ、もう一度息を整えると私はそっと魔力を解放して耳としっぽを体に具現化させる。
大丈夫、魔法はまだ使える。
……まだ。
いつまで私は飛ぶことができるのだろう、と私は手のひらをじっと見つめた。
その様子を、ハルトマンが見ていたとは私が知る由もなかった。


***


「おはよう」

私は普段通り軍服をぴしっと着ると食堂に向かった。

「おはようございます!」

キッチンから返事が返ってくる。食事の準備を宮藤とリーネが請け負ってくれていたようだ。二人が隊の雑務を進んで請け負ってくれるのはこの基地に来てからも変わらない。
そこにさらに加わったのが二人。

「芳佳、このお皿どこに置く?」
「リネット曹長、これ、作ってみたんですけどどうですか?」

ルッキーニと、ヘルマだ。

「ほう、二人とも手伝いとは感心だ。ルッキーニなんてこんなに朝早くに起きているのは初めてなんじゃないか」

茶化すように言うと、ルッキーニはぷう、と頬を膨らませた。

「バルクホルンのいじわる! 今日はね、食事が終わったら芳佳とリーネとヘルマとで街に遊びに行くんだ!」
「だから手伝うんだって朝から張り切っていたんですよ」

とは、リーネ。

「みんなが食べ終わってその後片付けも終わらないと行けないですよって言ったんですが」

ヘルマがふぅとため息をつく姿に、私はくすりと笑ってしまった。

「なんだ、そういうことなら、今日の食事の後片付けは各自で行うようにしよう。お前たちの分は私がやるから、食べ終わったらそのまま置いておいてくれ」
「え! いいん……」
「バルクホルン大尉にそんなことさせられません!」

顔をぱあ、と明るくした宮藤の言葉をヘルマが遮る。

「何を遠慮することがある。たまにはいいじゃないか」
「よくないです!」

ヘルマは意外と頑固なところがある。うーん、困った、意地を張らせたいわけではないのだが。

「上官の命令だぞ、ヘルマ曹長」

おどけて言ってみる。言うと同時に自分でも驚いた。以前の私だったら茶化すようなことはできなかったはずだ。

「う、ううう……」

ヘルマは最後には折れたけれど、代わりにお土産を買わせてくれ、と変なお願いをされてしまった。

「昨日、ネウロイを倒した後だからな、今日の出現率はきわめて低いと考えていい。ゆっくりと羽根を休めるといい」

私はそう言って自分用のコーヒーを注いで食卓に座る。
私と宮藤たち以外はまだ食堂に現れない。ふう、とコーヒーをゆっくりと楽しむ。

「あのう、そういえば」

おずおずとキッチンから出てきたのはヘルマだ。

「なんだ?」
「バルクホルン大尉はお休みを取られないのですか? まだこの基地に来られてから休みを取られていないようなのですが」
「えっ、そうなんですか、バルクホルンさん!」
「……いや、まぁ……」

私は苦笑いを浮かべて頬をかいた。

「適度に休まないと体を壊しますよ! 考えてみたらバルクホルンさん、扶桑にいたときもも休み取ってないじゃないですか!」
「え……ああ……そうだったか?」
「そうですよ!」

とぼけて見せたけれど、宮藤には通用しなかったようだ。まるで母親のように怒るその姿にふと笑みをもらす。
やっぱり、お前は姿だけでなく、言動までもがクリスに似ている。

「もう、聞いているんですか、ちゃんと休まなきゃだめですからね!」
「ああ、わかったよ」

さすがは診療所の娘といったところか。かなりの念を押した言い方に私は頷いた。
決して、意識して休みを取っていなかったわけではないけれど、と食堂の窓から空を見上げる。
休めば、立ち止まってしまう気がして。
そんな弱気なことを考えている自分も嫌なのだけれど、どうしても今は走り続けていたかった。


***


朝食が終わる。
「や、やっぱり手伝います!」と意地を張るヘルマを宮藤に引きずって行かせて、私は一人、キッチンの流しに向かう。
ざあああ、蛇口から流れ出る水が手に冷たい。
外を見れば雪が降ってきそうな空色だ。
カールスラントの割と東方に位置するこの基地は私の故郷と気候がよく似ている。もう冬の只中だ。白い雪とは対照的に赤と緑のクリスマスカラーが街を彩る季節だ。
ふう、と手のひらに息を吹きかける。
久しく忘れていたこの寒さに、ぶるり、と体と心を振るわせた。
クリスは元気にしているだろうか。
扶桑が危ないと聞いたときに真っ先に飛び出してしまって以来、顔を会わせていない。会いたい、そう思うけれど、今の心が弱った自分では弱音を吐き出してしまいそうで怖かった。
ぴた。
急に頬を冷たいものが撫でた。

「うわっ」

私は飛び上がると、後ろを振り返った。

「へっへー、驚いた?」

そこにいたのはハルトマン。

「何するんだハルトマン!」
「えー……私のせい?」
「ほかに誰がいる!」

こいつはいつまで経ってもつかみどころのないやつだ。ふう、とため息をつくと、ハルトマンはにやにやと笑っていた。

「ねえ、トゥルーデ」
「……なんだ」

満面の笑みに、嫌な予感しかしない。

「あのね、トゥルーデ。トゥルーデってここずっと休暇とっていないでしょう?」
「……ああ、まぁな」

なんだ、こいつも宮藤みたいなことを言うのか。ハルトマンの父親は医者だったな。そういう風に気にかかるものなのだろうか。

「と、いうわけで、今日はトゥルーデのお休みになりました!」
「……は?」

何が、というわけで、なのか分からないし、こいつが何を言っているのかも分からない。

「だーかーらー……私がトゥルーデの休暇を申請しておいてあげたよって」
「なぁにをやってるんだ、お前は!」
「えー……そこは感謝するところじゃない?」
「何でだ!」
「それでね、トゥルーデ」
「お願いだから話を聞いてくれ……」

私はがくりと肩を落とすけれどハルトマンは相も変わらずにこにこと楽しそうだ。

「トゥルーデを連れて行ってあげたいところがあるんだけど、ついてきてくれる?」
「もう、どこにでも連れて行け……」

私がそういうとハルトマンは意気揚々と私の手を引き始めた。


***


車で連れてこられたのは近くの町だった。
私が運転する、と言ったのだが、その提案は却下されてしまった。これくらいの距離であればわけないのだが。

「はい、とうちゃーく」

車から降り立つとそこはホテルのようだった。

「到着ってお前……」
「はいはい、一名様ご案内ー!」

あ、ちょっと……なんて抗議はさらりとなかったことにされる。今日のハルトマンは少し強引だ。そうして案内されたのはホテルの中でも何の変哲もない部屋の前。

「いったい、何だっていうんだ」
「まぁまぁ」

そう言いながら、ハルトマンはぐいぐいと私のことを部屋の中に押し込み、自らも入る。

「連れてきたよ」

なんて言いながら。
誰かいるのか? 私は訝りながらドアをくぐると、その部屋に足を踏み入れた。
踏み入れた瞬間。

「久しぶり」

耳慣れた声が耳朶を打つ。それに体までも打たれたような衝撃が走った。
部屋にはベッドが二つ並んでいる。オーソドックスな二人部屋だ。そのうちの一つに。

「どうしたのお姉ちゃん。びっくりした顔して」

クリスが、そこに座ってくすくすと笑っていた。

「なん、なんで、ここにクリスが」

言いながらも私は答えを知っている。ハルトマンだ。後ろでにやにやと笑っているのが分かった。
でも。クリスはブリタニアにいるはずだった。安全なブリタニアに置いてきたはずだった。
カールスラントの、しかもこんな前線に来ていい存在ではないのだ。それなのに。

「なんでここにいるんだ……危ないだろう、部屋を出よう。ブリタニアに帰るんだ」
「帰らない」

はっきりした物言いに私はたじろぐ。クリスは本来、こうと決めたら聞かない性格なのだ。

「こういうところ、トゥルーデと似ているよね」

と、ハルトマンの茶々が飛ぶ。
キッと睨み付けると、ハルトマンは「おお、怖い怖い」なんて言いながら部屋を後にしようとする。

「あ、こら、ハルトマン、どこへ行く」
「いや、後は姉妹水入らずってことで」
「ハルトマン!」

ハルトマンは部屋を出て行った。
がちゃり。再び扉が開く。

「あ、トゥルーデ。宿泊許可は取ってあるから」
「早く行け!」

どこまでも用意周到なやつだ。私は気勢を上げたが、クリスがそれを見て更にくすくすと笑っているのを聞いて恥ずかしくなって乱暴にクリスの横に腰掛けた。

「元気だったか」

自分でも声が緊張していることが分かる。実の妹に緊張するなんて。

「うん、元気だったよ」

そうか、なんて言って会話が尽きる。せっかくハルトマンが「盛り上げて」くれた(おそらくあいつなりの配慮だ。認めるのは悔しいけれど)空気が下がっていってしまうような気がする。

「……見舞いに行けなくてすまなかった」

扶桑に行って以降、クリスとこうして話すのは四ヶ月ぶりだろうか。

「ううん、こうして会えて嬉しい」

そうか、私もだ。言葉少なながら少しずつ緊張がほぐれていく。
扶桑にいるときも、カールスラントに戻ってきてからも、クリスのことがずっと気がかりだった。
元気にしているだろうか。少しは大きくなっただろうか。……そんな母親にも似た気持ちでいつも思っていた。
クリスは前に会った時よりも少し大きくなったようだった。この時期は確かに身長が伸びるのが早い。自分も成長痛に悩まされていた時期だと思うとふと笑いがこぼれそうになる。

「大きくなったな」

頭を撫でると、クリスは気持ちよさそうに目を細めた。

「でも、なんで急にこんな前線に?」
「……」

クリスは急に真剣な表情をしてベッドから立ち上がり、私の前にかがんで、私と視線をあわせた。

「……ハルトマンさんから、全部聞いたの」

ぎくり、とする。もしかして。

「お姉ちゃんの、あがりが近いようだって」

……やっぱり。あいつ、気付いていたんだ。鋭いあいつのことだ、随分前から気付いていたに違いない。「無理をすれば自分が止める」そう言ってくれたシャーリーのことも思い出す。ありがたい。こんな仲間に囲まれていることが。
ハルトマンは気付いていた。それでいて何も言わずにこんな場を設定したのだ。
おそらくは……私の覚悟ができるように。

「そうか。あいつから、聞いたのか」

静かに返す。

「ねえ、お姉ちゃん」

クリスが正面から私を見上げてくる。

「お姉ちゃんが、戦わなくてもいいんじゃない?」
「えっ……!」

驚いて私はクリスのことを見た。

「お姉ちゃんは十分に傷ついたよ。頑張ったよ。もう休んでもいいじゃない……帰ってきてもいいんじゃない?」
「く、クリス……」

私は動揺する。クリスが今までこんなことを言ったことはなかった。でも、実はクリスは、私がウィッチとして戦うことに反対していたということなのか?
そんな私の様子を見て、クリスはふっと笑った。

「……なーんて、言うと思った?」
「え」

冗談だよ。なんて言われてしまって、私はどうしたらいいか分からなくなる。
お姉ちゃんをからかうな、なんて力なく言ったけれど、今のが本心だったら私は私が戦う大きな理由の一つを失うことになる。心が揺らぐ。

「私。私ね。小さい頃、どうして私はウィッチじゃないんだろう、って何度も何度も責めたわ」
「え……」
「私がウィッチだったら、お姉ちゃんと一緒に戦える。お姉ちゃんはいつも私を守ってくれるけれど、ウィッチだったら私が守ってあげることだってできるのに。って」
「……」
「でも、なれなかったから。私はお姉ちゃんのお荷物なんだって、ずっと思ってた」
「そんなこと!」

そんなことない。お前がいてくれたことでどれだけ私が救われた分からない。本当だ。お前が私に戦う理由と力をくれたんだから。
「ありがとう」そう言ってクリスはそっと微笑んだ。でもね、とクリスは言葉を続ける。

「今は、そんな自分の役割に感謝しているの。私は、お姉ちゃんの荷物に……重しになろうと思うの。無茶は絶対にしないで。お姉ちゃんの帰る場所はここなんだから。絶対に私のもとに帰ってきて」
「……っ」

途端、涙腺が緩む。
心配してくれるその優しさに、それでも送り出してくれる力強さに。
遠いブリタニアの地で一人きり、私のことを待っていてくれた、そしてこれからも待っていてくれるクリスのことを思うと、痛みと同時に、待っていてくれる人がいることの嬉しさに胸が暖かくなる。
いろいろな感情が混じった涙は、一度流れ出すと止め方が分からなかった。

「……すまない」

辛うじてそれを口にすると、クリスはにこりと笑って私の頬を両手で包んだ。

「お姉ちゃんってこんなに泣き虫だったっけ」

そっと涙を掬われてそう言われてしまって私は更に顔を赤くした。

私には、帰る場所がある。
それは愛すべき祖国であり、同じ隊の仲間の下であり、クリスの待つ場所でもある。
待っていてくれる人がいる。私を案じてくれる人がいる。
無茶をするなら助けると憤る友もいれば、こうしてお節介なことをする友もいる。
何が何でも祖国を取り戻すのだと、その気持ちは変わらない。けれど、私は生きて帰らなければいけないのだ。
魔力減退が止まったわけではない。それでも私は私の手で祖国を取り返したい。
私は欲張りだな。
クリスに笑いかける。
今日はハルトマンのお節介に一本乗ろう、と思った。



(to be continued)

というわけでバルクホルン姉妹の話でした。
本にした時は挿絵を新和さんにお願いしました。エーリカの髪の毛をすこーしだけ長くしてもらってIFっぽい感じにしていただいたなんて裏話もあったりします。






まさきさん
エイラさんってばサーニャの両親の情報手に入れましたし、あとは挨拶するための心の準備だけですね(違)!
コミケは冬は寒さとトイレと、夏は暑さとの戦いですね…あとは情報戦とかも絡んできそうです、完売情報とか…。
あまり人混みが得意ではないので夏にしても冬にしても人混みとの戦いという面もありますね…結局のところ、コミケは戦争です(笑)。

コメントありがとうございました!
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