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2011.06.04 (Sat)

ストウィチ3期妄想SS 4話 お願いだから

こんばんは~。コミケの当落が発表されましたね~!
私は申し込んでいないのでついったー上でひたすら知り合いの配置ついーとをふぁぼる作業をしているのですが(勉強しろ)、こういうの見ていると自分も申し込んでみたくなったりしますね! お祭りみたいで楽しそうです…。

今回は3期妄想SS4話です。
扶桑の気候が合わなくて体調を崩すエーリカのお話。
エーゲルです。

続きからどうぞー!
【More・・・】



四話 お願いだから  

 それは、扶桑に向かう輸送空母の中ですでに感じていたことだった。

「なんか調子おかしいなー」

と。それに対して

「それは珍しく早起きしたからじゃないか」

 そう言ってまじめに取り合わないながらも、嬉しそうに(これはその時、まもなく扶桑、というところだったからだろう)言うトゥルーデを見て私はまぁいいか、と自分の不調に蓋をした。
 それが、すべての始まりだった。


***


「それではみんな、お疲れ様」

 ミーナの声で私は我に返った。いつの間にかミーティングが終わっていたようだ。
 扶桑戦線はすでに一ヶ月が経過しようとしている。戦闘は順調だった。
 先ほど、朝早くから「強襲」したネウロイを撃破したばかりだというのに隊員の顔には余裕さえ窺えるほどに。一番の新人である宮藤にさえも、だ。
 いやもう、新人でもないか。宮藤は立派に独り立ちして戦っていると思う。それなのに、私ときたら。エースであるとの自負も自覚もないけれど、なかなか上手く飛べないことを情けなく感じていた。
 手のひらを見つめる。
 小刻みに震えるのはアジアに来てからだった。
 そういえば、私は小さいころ、アジアに来たことがあるらしい。
 らしい、というのはそれほど小さかったからだ。そのときもアジアの気候が合わないだとかで体調を崩して早々に母様と一緒にヨーロッパに戻ったのだそうだ。
 大きくなって変わったかと思ったがそうでもなかったらしい。
 ミーティングがお開きになり、各々がミーティングルームから出て行く中、やっと腰を上げた私を待ち構えていたのはトゥルーデだった。

「おい、ハルトマン」
「……」

 今、一番話したくない相手だ。勘付かれると……厄介な、相手。

「最近、撃墜数が伸びてないようだが……」
「撃墜数なんてどうでもいいよー。私、寄る所があるから!」
「あ、こら、ハルトマン。話はまだ終わってないぞ」

 軽くあしらって私はトゥルーデの横を素通りしてミーティングルームを後にした。


***


 私は基地を出て、山の上へと車を進めた。
 目的地は決まっている、扶桑に来て何度か尋ねたことがあるから迷ったりもしない。
 山がちの横須賀は少し山を登るだけで海が見える。山に抱かれているような湾は太陽の光を反射して美しく輝いている。
 素朴な色の多い扶桑だけれど、私は好きだった。素朴という意味では私の故郷のカールスラントもまたそうだったから。
 だから、私は決して扶桑が嫌いなわけではないのだ。

 そう思いながらもくもくと車を走らせる。
 間もなくして小さな木造の家が表れる。表札には見知ったやつの名前。
 車を家の脇に止めると、私はそのまま家の中に入っていった。中は診療所になっている、入るや否や、中にいた老女が話しかけてきた。

「これはハルトマン中尉。よく来たね」

 芳子おばあちゃんが話しかけてくる。

「うん、やっぱり調子が悪くて。あと、ハルトマン中尉なんてかたっくるしいからエーリカでいいよ」

 そうかい、と芳子おばあちゃんは応じるけれど、何度直してもエーリカと呼んでくれそうにない。

「エーリカちゃん、こちらへ」

 そう言って私を誘導してくれるのは清佳さん。
 この二人は……宮藤のお母さんとおばあちゃんだった。
 芳子おばあちゃんの前の椅子に座り、私は軍服をたくし上げる。芳子おばあちゃんは慣れた手つきで私の胸に聴診器を当てた。

「今日は珍しく待ってる人いないんだね」
「朝早いからね。あんたが珍しいんだよ、この時間に来るなんて」

 時計を見ればまだ朝八時。朝の戦闘も、ミーティングも長引かなかったし、確かにいつもよりだいぶ早い時間だ。

 私がこの宮藤診療所に足を運び始めたのはちょうど一ヶ月前。扶桑に来た直後からだった。こちらに来てから体調をくずしがちだった私は宮藤に頼んで実家の場所を教えてもらった。宮藤の実家は診療所だ、と聞いていたから。

「わざわざ基地の外に出なくったって、基地には軍医が常駐しているだろうに」

 そうぼやきながらも芳子おばあちゃんは優しい。
 はい、終わりだよ、との声に私は軍服を下ろす。

 私のこの体調不良は体質のようなものだ。おそらくは少なくともこの三ヶ月では劇的に改善することなどないだろう。だから今の私にできることといえば予防や症状軽減のための治療だけだった。
 これくらいは医者の家庭に生まれたものとして、知識として持っている。だから、軍医にかかるのでも芳子おばあちゃんにかかるのでもきっと結果は同じなのだ。
 それでもこの診療所に来るのには理由が二つある。
 一つ目の理由は軍医にかかることでトゥルーデやミーナを心配させたくなかった。なんとか隠しているつもりだけれど、少なくともミーナは気づいているはずだ。

 後ろに立っていた清佳さんがそっと軍服を正してくれる。

 そして、二つ目の理由は清佳さんだ。
 この人は職業こそ父様と同じ医者だけれど、心の在り方はまるで……遠い地にいる母様だった。
 この年になって、と自分を笑ったりもするけれど、この診療所に来ると心が軽くなって、症状も軽くなる気がしていた。


***


 診療所を後にして部屋に着くと、私はそのまま二段ベッドの下段に倒れこんだ。しわ一つなく張られていたシーツをぐしゃぐしゃにする。

 ふう、と息をつき、天井を見上げた。
 部屋に戻ると診療所で蓄えたはずの気力が少しずつしぼんでしまう気がする。
 そうして最初から扶桑行きには乗り気がしなかったのだ、と思考を始めてしまうのだ。
 もちろん、扶桑にはヨーロッパのために尽くしてくれた宮藤と坂本少佐がいる。その恩に報いるためにも行きたい、その気持ちはあった。だけど、私自身の幼少期の体験に不安を抱えていたし、何より。
 そこまで考えて私はそこにあった布団を抱きしめた。
 トゥルーデの、においがする。
 そう、本来であれば私のベッドは上段なのだ。

 扶桑で割り当てられた部屋はロマーニャの時と同じ二人一部屋。扶桑の部屋はロマーニャほど大きくなかったのでそれぞれの部屋に二段ベッドが割り当てられている。
 ロマーニャでの部屋割りと同じで誰も文句はなかったのでそのままだけれど、この部屋を見たときにトゥルーデがすごくいやそうな顔をしたのを覚えている。
 以前であれば「ジークフリート線」だとかいうものを敷いて部屋の境を明らかにすることで私の侵入を防いでいたのに、これでは境なんてない。そういうことだろう。
 境目なんて気にしなくていいのに。と言ったらすごい勢いで睨まれた。

「徹底的に管理してやるからな」

の言葉どおり、私のちらかし癖はなりを潜めている。


 話が横にそれてしまった。私は抱きしめた布団をもう一度強く抱きしめた。

「本当に、鈍感」

 この布団の主に対してそっと文句をつける。
 するとそれを合図にして……のはずはないのだけれどタイミングよくその主が扉を開け、部屋に入ってきた。

「ハルトマン、戻っているのか」

 部屋のカーテンは締め切られている、部屋がよく見えないための確認だろう。
 かつかつ、とブーツを小気味よく鳴らしてトゥルーデが部屋の中へと進んでくる。そして、ベッドの脇へと腰を下ろした。私はそっちを見ないで背中を向けた。

「なぁ、ハルトマン。お前、本当は扶桑に来たくなかったんじゃないか?」
「……」

 普段、鈍感なくせにこういうところだけ鋭いのは、ずるい。私は黙秘を貫く、トゥルーデもじっと私の答えを待っている。
 気まずい沈黙が部屋を包んだ。
 その、沈黙を破ったのは。

カンカンカンカン!

 ネウロイ出現の警報に私たちはさっと身構える。

「ネウロイ出現! 総員戦闘配備!」

 そんな、今日はすでに一回ネウロイが出現しているのに。予報がまた狂い始めているのか。それとも先ほどの戦闘で討ちもらしたやつがいるのか。そんな思考をしつつも私たちは坂本少佐の館内放送にはじかれるように格納庫へと走り出した。

「お前は休んでいたらどうだ」
「やだよー」

 走りながらかけてきたトゥルーデの提案を断る。
 私だって休めるものなら休みたい。だけれど、今は。
 私は体に鞭打って走る速度を上げる。
 何か言いたそうなトゥルーデに何も言わせたくなかった。


***


「今回のネウロイは高速小型よ、各自散開して撃破して」

 ミーナの指示に従い、隊員が各自散開する。
 今回の出撃はミーナ、ペリーヌ、トゥルーデ、シャーリー、ルッキーニ、そして私だ。
 各自散開して撃破に当たる。なんてことはない小型のネウロイだ。殲滅も時間の問題だろう、それに今日の私の体はなんだか軽い。撃って出るようにして前へ出ていたから、罰が当たったんだ。

「ハルトマン!」
「……っ」

 どん、と、衝撃が私を襲う。とっさに張ったシールドが間に合ったのか分からないまま、私は吹き飛ばされた。

「ハルトマン!」

 視界が血で滲む。その滲む視界で確かに私に向かって飛んでくる人影があった。
 その人影は私に追いつくと手をとって私を抱き寄せた。しっかりと抱えられて私は安堵する。
 お姫様抱っこのように抱えているその人影は……。

「とぅるー……で」
「無茶ばっかり、しないでくれ、お願いだから」

 私の胸に顔を埋めるようにしてトゥルーデは泣きそうな声で言うのだ。

「私がもっと強く止めていれば……私のせいでお前が怪我するなんて、嫌なんだ」

 その言葉に反射的にトゥルーデの胸を押す。それは、拒否のサインだった。トゥルーデは、勘違いしている。

「ハルトマン?」
「いい加減に、しろよ。これは私の不注意が招いたことなんだから、トゥルーデのせいじゃない。それよりトゥルーデは目の前のことに集中してよ」
「でも……」

 なおも言いよどむトゥルーデに私の中で何かがはじけた。

「扶桑解放して、次は、カールスラントだろ!」

 私の強い語調にトゥルーデははっとした表情を浮かべた。
 ずっとずっと思っていたことだった。私の体調不良なんて二の次で、一番大切なものはいつだって……

「私が。私が、カールスラント陥落で苦しむミーナを、トゥルーデを見ていて……何も思わなかったと思うの?」

 ……君たちなんだ。

「……っ」

 トゥルーデはじっと私の言葉を聞いている。
 くらり、と貧血を起こしているのを感じて、私は手のひらを握りこんで意識を保たせる。まだだ、まだこいつには言ってやりたいことがある。
 トゥルーデから遅れてミーナが私のところへと駆けつけた。

「フラウ!」

 大丈夫だよ、大した傷じゃないって。それよりも。私はこのわからずやに言わなきゃいけないことがあるんだ。ミーナは他のメンバーに指示を出した。高速型ネウロイの残機数は五機。残りの三人のメンバーでは心もとない。

「坂本少佐、ハルトマン中尉が負傷したわ。ネウロイも残機が多い。増援お願いします」
『わかった。宮藤とリーネを向かわせる』

 すぐに基地へと応援要請を飛ばすミーナはさすがだ。

「みーな」

 ねえ、まだ言いたいことがあるんだ。二人に聞いてほしいことが。なぁに、と二人がこちらを向く。

「ねえ、坂本少佐がさ、飛べなくなったみたいに、二人もいつかは飛べなくなっちゃうんでしょう。私を置いて、空からいなくなっちゃうんでしょう」
「……」

 二人は黙っている。

「でもね、その前に、自分たちの手で、カールスラントを取り戻してほしいんだよ」

 それがね、私の夢なんだ。お願いだから、叶えてほしい。いや、叶えたいんだ。
 そう思いながら、私は意識を手放した。
 遠く、私を呼ぶ声が聞こえた気がした。


***


「もーさ、大げさだよねー!」
「もう、ハルトマンさん! 心配したんですから!」
「そうですよ、バルクホルン大尉の腕の中でぐったりとしていたんですから!」
「ははは、ごめんごめん」

 私は病室に見舞いに来てくれた宮藤とリーネに応じていた。
 私の頭の怪我はたいしたことはなかったけれど、最近眠れなかったことが影響してすっかり意識を飛ばしてしまったようだ。なおも残るけだるさは押し隠して、私はベッドに体を起こしていた。
 処置が終わったのはほんのちょっと前のこと。
 私はあのままトゥルーデに抱かれて基地へ向う途中、落ち合った宮藤に引き渡されたのだそうだ。
 トゥルーデは私のことを頼む、と言ってなおも追従しようとする宮藤とリーネに基地に行くよう伝えると戦域へ戻っていったという。戦闘は私の処置が終わるころには終了していたそうだから、そろそろ戻ってくるころか……。

「あ、そろそろみなさん戻ってくるころですね」

 というリーネの言葉を合図にしたかのように病室にシャーリーたちがずかずかと入ってきた。私が助かったのはすでに連絡がいっていたのだろう、緊張した様子はない。

「おーハルトマン、無事だったか」
「ハルトマンが被弾するなんて珍しいね」

……とは、にぎやか二人組の談。てっきり走りこんでくるかと思っていた人の影がなくておや、と思っていると、

「おい、いつまでそこにいるんだよ」

 シャーリーが病室の扉へと声をかけた。そこには無様にも床にしりもちをついたカールスラントエースがいた。私は思わず笑ってしまって、しょうがないなぁ、と私はベッドから立ち上がるとトゥルーデのそばへと歩を進めて、傍らにしゃがみこんだ。

「どうしたの、トゥルーデ」
「……お前が、しんじゃうんじゃないかって……思って……」
「それで?」
「だいじょうぶだってきいてあんしんして、でもきいただけじゃふあんで。いま、かおみてあんしんしたら」
「腰が抜けちゃったってわけ?」

 けらけらと笑うと、一瞬怒ったような表情を浮かべたトゥルーデはすぐに泣きそうな顔をしてそのまま私を抱きしめた。
 最初はびっくりしたけれど、私を包み込む体が少しだけ震えているのを感じて、そっとその背中を叩いてあげる。
 ぽんぽん、ぽんぽん、と。
 大丈夫、私は死なないし、あなたも守ってみせる。
 ふと目線を上げると、トゥルーデの後ろにはミーナが立っていた。
 そう、叶えたい夢が、私にはあるから、と思いながらミーナを見つめると、ミーナは何か分かったような表情でうなずいていた。


(To be continued...)



WL2の新刊に入れた時のまま掲載しました。
いつか1話から完結させるまでを1冊にして出したいのですが、その時には修正して載せたいところです。

お読みいただきありがとうございました!


↓感想ありましたらお願いします!↓





拍手返信です!

ビッグ・リバー・インサイドさん
こちらこそ、挨拶が出来て嬉しかったです!
3期SSの感想もありがとうございます~。
いつか1冊の本にしたいなと思いつつ…続きを書いていけたらいいなと思います!

コメントありがとうございました!



まさきさん>2つまとめさせていただきます、すみません!
WLお疲れさまでした! 会津屋のたこ焼きありがとうございました、おいしく食べさせて頂きました、本当にタレなしで食べてもおいしいですね!
エーリカは魔力の枯渇というよりはモデルであるエーリッヒ・ハルトマンは幼少時代、アジアに来たけれど気候が合わず体調不良でヨーロッパに帰ったという史実を元に、エーリカもアジアの気候が合わないせいで体調不良を起こす流れにしました!
ミーナとトゥルーデには早くカールスラントに戻ってもらいたいのに扶桑だし、体調不良だしで普段の余裕が無くなってしまってる設定です。
って、既刊のお話のことまで感想に挙げていただけるなんて、光栄です。そうですね、ダンケだとエーリカが一人残されてしまうのですが、今回はどう描こうかと思案中です!もっさんについても考え中だったりしますw

あ、お祝いありがとうございました!6年目に向けて頑張りますね!

コメントありがとうございました!
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