2010.07.07 (Wed)

【ストウィチ】もっふじSS『try again』

早いところだと今日の夜からストライクウィッチーズ2が始まりますね!
あぁ、もう、1期の最終話見てからというもの、どれだけ待ったことか…!

ネタバレにおびえつつも、楽しみです。

あ。今日は2期放送開始記念ということで、ストウィチの初心(?)に返ってもっふじを書いてみました。
1期終わって扶桑に戻ってきた2人の話です。

続きからどうぞ!
【More・・・】

『try again』


扶桑に戻ってきてから、半年ほど経った。
私は、ウィッチとして戦うには魔力が足りない身となり、今はこうして後身の指導に当たっている。
今日もまた、学校のグランドに出て、生徒達を走らせていた。

すぐに檄を飛ばすのを恐れてか、鬼教官と呼ばれているが、私は気にしない。
まだ幼い子供達が着ているのはセーラー。
色こそ違うが、走っているその姿を見ると、半年前に一人立ちしたあいつの姿がかぶって見えることがあった。

時折、手紙が送られてくる。
あいつらしいマメさに、あまり書をしたためない私も思わず筆を取ってしまった。
それでもここ1ヶ月は文が来ない。

「元気にしているだろうか、宮藤」

いつも無意識に持っている刀を地面につき、空を見上げる。
少し今日は曇っている。雨でも降るかもしれない。


宮藤は501が解散したのを機に、軍を辞した。
戦争は嫌いです、という最初の言葉にふさわしい、あいつらしい引き方に私は何も言わず見送った。

本心を言うならば、あいつには軍に残って欲しかった。
ガリア戦線が解消されたからと言って、世界にはまだたくさんのネウロイがはびこっている。
まだ苦しんでいる同胞がいる。
それを……助けてやって欲しかった。

「私の代わりに」という言葉が浮かんで、思わず顔をしかめる。
なんという自己中心的な考えだろう。

むっとした表情に見えたのだろう。私の表情を窺い見た生徒達はこれ以上走らされてはたまらない、というようにそれぞれ速度を上げた。


***


警報が聞こえたのは雨が降ってきてからだった。
雨が降ってきたので、というわけではないが、そろそろ頃合だと思っていたので最後1周を全力疾走にすることで私は訓練を切り上げ、校舎の中に生徒達と戻ったところだった。

「学校で、警報?」

この半年なかったことに警戒心を強くする。
聞きなれたこのサイレンが意味することは、良く知っている。
自然と動き出す体に、まだ自分は戦場の勘が残っていたのかと苦笑いを浮かべる。
生徒達はこのサイレンの意味が分かっていないのだろう、困惑した表情を浮かべているばかりだ。

「お前達はここで待機していろ。他の教官の指示をあおげ」

こういうとき私はダメだな、と再度苦笑いを浮かべる。
ミーナだったらこういうとき、まず体勢を整え、対策を講じてから迎え撃つだろう。
性分なのだ、とそういった考えを振り切り、体育館倉庫へと向かう。
ここには生徒達が飛行訓練をする時用のストライカーユニットが置かれている。

こんな状況にあって私は笑っていた。
そう、ここが私のいる世界だ。
上空を見上げるとネウロイが飛行していた。

扶桑にネウロイが現れるなんて、おかしい。確かにおかしいが、目の前にあるこの状況が私の全てだ。
軍が気づいて制圧に来るだろうが、それまでの時間稼ぎくらいなら、私にも出来る。
そう思い、私は勢いよく空へと駆け上った。


***


交戦し始めてしばらく経った。
中型のネウロイは単機、空を漂うように飛行している。
あまりにも隙だらけなその様子にすぐに攻撃をしかけるが、回避能力は高いようで、すぐに避けられてしまう。
本当に、漂っているだけに見えるその姿にネウロイの意図を掴みかねて私は額にしわを寄せた。

―なんだ? 何を考えている?―

そう思ったところで、ネウロイに意図があると考えるなんて、少し前の自分には想像もできなかったことだと、戦闘中ながら自分に呆れ、苦笑いを浮かべる。

―私も毒されたものだな―

攻撃する意思がないと判断し、私は眼帯を指で押し上げた。
魔眼を使うと魔力を著しく消費するので、できれば使いたくないところだが、攻撃する気配がないとは言え、このまま、学校の上空を飛ばれていてはかなわない。
まだ動きのない軍に歯噛みしながらも、早急にこいつを片す必要があった。

魔眼でコアの位置を探る。
……だけど、肝心のコアが見つからない。

「コアがないネウロイ、だと……?」

私が一人ごちると、それを隙だと思ったのか、ネウロイが急に攻撃をしかけてきた。
ひゅん、と飛んできた光線をすんでで避ける。
その光線はいつもの見慣れた赤ではなく、青。
本当に新手のネウロイなのかもしれない。
何せネウロイは未知の物体なのだ。生物と言って良いかも怪しいが、人類の知りえないネウロイがいてもおかしくはない。
そんな状況でも私は笑っていた。

「おもしろい……」

すらり、と刀を抜く。

その、瞬間だった。
がくり、体が傾ぐ。この状態は……魔力を消耗したときのものだ。

「くっ」

体勢を立て直し、刀を握りなおして切りかかると、ネウロイは本格的に攻撃をしかけてきた。
避けようとするが、1本の閃光がかすり、そのまま失速する。

―落ちる……―

そう覚悟したときだった。
がしっと左腕がつかまれ、そのまま引き上げられる。
誰だ? 軍がやっと来たのだろうか。
そう思い、目を転じると、そこにいたのは予想もしなかった人物だった。

「宮、藤?」
「坂本さん! どうしたんですか、この状況は!」
「……ネウロイが急に学校上空に現れてな……。それよりもお前は何故ここにいる」
「……坂本さんに会いに、この学校に寄ったんですが、騒がしいので近くの子に聞いてみたら坂本さんが飛んでるって聞いて……居ても立ってもいられなくて」

それで、軍属でもないのに無断で練習用のストライカーユニットをつけ、文字通り、飛んできてしまったのだという。

「坂本さん、無理しないでください」
「無理など……無理などしていない」
「嘘ですね」

きっぱりと言い放って宮藤は再び私の腕をとった。ずきん、と鈍痛に顔をしかめる。
先ほど、避けきれなかったネウロイの熱線が脇腹をかすっていた。
シールドは意味をなさない。わかっていたことだった。

「やっぱり……」

宮藤はまるで自分が傷ついたかのように顔をゆがめた。
掌を私のわき腹に寄せ、すぐに治癒魔法をかける。
それは出会った頃とは比べ物にならないほど練りこまれた魔力で、すぐに痛みが引いた。

「宮藤」

宮藤は呼びかけに答えず、にこり、と笑顔を返すと、銃を構え、ネウロイへと向かった。


宮藤がネウロイにありったけの銃弾を叩き込む。
あぁ、銃弾の配分はしっかり行えと教えたはずなのに、まだ指導が必要だななんて頭の隅で考えてしまった自分を責める。
宮藤は……もう軍人ではないのに。

熱線が宮藤の顔の横をかすめる。

「宮藤!!」

叫ぶも、見上げるばかりの空には届かない。
悔しさに唇を噛みしめる。見ているだけしかできないのか、私は。

そんな私の気持ちとは裏腹に、宮藤は飛び続ける。銃弾を浴びせ続ける。

そこへ突然、大音量で声が聞こえた。

「ストーップ!! 攻撃を止めてください」

声のする方を見上げると、陸軍のウィッチが2人、拡声器を片手に飛んでいた。
攻撃を止める?こいつはネウロイだぞ、何を言っている?
そう言おうとするも先ほどからの違和感が口を閉ざす。

そもそも何故、こんなところにネウロイが現れた?
ネウロイの生体が不明とはいえ、こんなに突然現れるものだろうか?それに…こいつにはコアがない、攻撃も赤ではなく青い光だ。

これは、もしかして……。

「すいませーん、それ、対ネウロイ戦闘用の模擬ネウロイなんです」

予想通りの答えに納得するも、時すでに遅かったようだ。
かろうじて飛んでいた模擬ネウロイは音を立てて海に墜落したのだった。


***


最新鋭の機体を壊してしまった宮藤と私は模擬ネウロイを基地の外に出してしまったことを詫びられながらもこってりしぼられ、陸軍の基地を後にした。
基地の門を閉め、微妙な空気が流れる中、私は無理をして笑って見せた。

「はっはっは……練習用とは一本取られたな、宮藤」

―あぁ、らしくない。と、心の中で思う。必死で沈黙を避けようとしている弱気な自分がそこにはいた。

「笑い事じゃないですよ坂本さん……。あの機体、いくらするか聞いてどれだけ働いたら弁償できるかって考えちゃいましたよ……」
「なぁに、機体を基地の外に逃がしたのは明らかに陸軍の責任。だからお咎めもなかったろう?」

―本当に、私らしくない。私自身を否定されたくないがために、私は言葉を必死でつむぐ。
でも、そんなあわてて繕ったものなど。

「……どうしたんですか、坂本さん。なんだか……無理してませんか?」

―……抜けているはずのおまえでも、気づいてしまう。
そう。私は……私は、私の手で、また誰かを守れると思うと心が躍った。そして……もうそれが叶わないと思い知らされたときのあの絶望は……。

「無理と言えば坂本さん。坂本さんがストライカーユニットをつけて出撃したと聞いたときにはびっくりしました」

ずきり、と痛む胸に気づかないフリをする。

「そう年寄り扱いするな」
「そんなんじゃないです、でも、心配で……」

そういう宮藤の顔を、門を出てから見ないようにしていた顔を、私はここで初めて見た。

宮藤の右目には眼帯がかけられている。

先ほどの戦闘で負った怪我はそこまでひどくなかったが、目のそばだったため、大事を取って眼帯をつけられたのだった。
治癒魔法を使ったらどうかと言ったが、こんな怪我すぐに治ると言って宮藤は譲らなかった。

自分とうりふたつのその姿を見て、心が痛む。

自分がもっとしっかりしていれば。
もっと飛ぶことが出来たなら。
宮藤をこんな目にあわせなかったのに。

悔しくて、直視できなかった。
なのに。

「坂本さん?」

宮藤はこちらの気持ちも関係なしに、ここと決めたラインを割って入ってくる。
私は咄嗟にそのラインを超えられる前に宮藤を抱き寄せた。

「さ、坂本さん?」

先ほどとは違い、上ずった声を胸に押し込める。
宮藤が驚いている隙にふぅ、と息をついて、気分を落ち着かせる。

「なぁ、宮藤。私はな」
「は、はい」
「私は、やっぱりお前と同じで『守りたい』んだ。誰かを」
「……」
「自分がもうできないってわかっているのにな」

そう言って乾いた笑いを放つと、宮藤は私の胸を押して顔を上げた。

「坂本さん、諦めるなんて坂本さんらしくないです」
「……」
「いつだって坂本さんは私たちの、私の、目標です。そりゃ、無理はして欲しくないですけど……坂本さんがやるっていったら、それはできるんだって、私は……信じてます」

真っ直ぐな瞳に見透かされる。弱気の自分を。

「……あぁ、そうだな……」

かろうじてそれだけ答え、宮藤を離すと、それきり私と宮藤は黙ったまま、別れ道で別れた。


***


帰り道で、空を見上げながら思い返す。
今日の戦闘のこと、501のこと、そして、初めて自分が空を飛んだ日のこと。

結局。

こんなやり方でしか、生きられない。
宮藤みたいに癒す力を持っていれば他の方法もあるかもしれないが……なんて、自分にないものを羨んだところで現実は現実。

「私はウィッチだからな」

もう1度、空へ。
呟いて見上げた空は早く戻ってこいと言っているような気がした。

(fin.)

というわけで、2期放送待ってましたよー!ということでSSでした!
急造ながら3ヶ月くらいあたためていたネタなのでこうして形に出来て一安心です。。2期放送にもぎりぎり間に合いましたし…。

部活とかでもそうですが、自分の場所をいつかは巣立つときが来る。でもそこで変わらず後輩が頑張っているのを見ると…悔しいやら切ないやらで胸が一杯になるなぁ、なんてそんな気持ちを書いてみました。
本当はみんできまでに書き上げて知り合いにあげようかなと思っていたのですが、なんにせよ間に合ってよかった…。

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22:56  |  SW SS  |  トラックバック(0)

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