2010.01.16 (Sat)

シャーゲルSS『Run,together.』後編

ストライクウィッチーズより、シャーゲルSSの続きです(前編はこちらです)。
続きからどうぞ!
拍手返信は文末になります!
【More・・・】



戦闘を開始してからどれくらいの時間が経っただろうか。

時間にして言えばそれほど時間は経っていないはずだった。
それでも魔力を全開にして戦うのはかなり消耗する。
肩で息をしているのは私だけでなく、シャーリーの弾む息も聞こえてきていた。

気づけば海上から海岸へと押し込まれている。
背後には海岸付近まで延びる豊かな小麦畑。
まだ青いその穂は、秋には金色へと変わるのだろう。
畑の傍にはこんなに近くに危険が迫っているとは露も知らず、点在する家々の煙突からは煙がのんきに立ち上っていた。

ここ確かにある暮らしを感じて、私はより一層負けるわけにはいかないとネウロイに追撃を加える。
ネウロイに的確な攻撃を与えられているらしく、目に見えて敵の動きは遅くなっている。
しかし、満身創痍なのはこちらも同じだ。

「……いい加減倒れろよっ…と」

シャーリーが防御から転じて銃弾を放った。
その途端、ネウロイが傾いだ、気配がした。
あくまでも見えないが、ネウロイが海へと落下するイメージ。

倒した、と安堵すると同時に、すぐにまずい、と直感が言う。
巨大なネウロイの落下、そしてそこで生じるだろう余波。

私たちが今背にしているものは、なんだ。
さっき見た青い穂とそれのそばの人の営みが頭をよぎる。
そして、青と反対に赤で染められた、私が守れなかったもののことも。
もう、守れないのは、

「うおおおおおおおおおおおお」

嫌だ。


咄嗟にシャーリーの前に出ると、私は巨大なシールドを展開した。



***



「おい、バルクホルン!」

ぺちぺち、と頬を叩く感触に目を開くと、視界をやつの鮮やかな橙の色が覆っていて、いつもはたれ目で気だるげな青い瞳が焦りに染まっているのが見えた。

「シャーリー……」
「……ったく、無茶するよな、あんたは」

言って、シャーリーが視界からどいて私の傍らに倒れこむと、青い空が見えた。
自分が砂浜に倒れているのだと背中に感じるじゃり、とした感触と視界いっぱいの空で気づいた。
そしてすぐに思い出す、あの青い穂は、白い煙はどうなった。
がばり、と起き上がり、背後を恐る恐る見ると、何もなかったかのようにのんきな景色は変わらず広がっていた。
安堵して、そのまままた砂浜に倒れこむ。

「守れた……か」
「……」
「まだ少し前までの自分のままなのか、と考えると……怖かった」

つい呟いてしまった私をシャーリーがまじまじと見る気配がしたが、気づかない振りをして視界を腕で覆った。

今度は、守れた。
紅く染められた町を思い出す。

一度失いかけたクリスを私は取り戻すことが出来た。
でも、取り戻せなかった人がいる。
住んでいた町を、愛する人を失った人がいる。
昔の自分を犠牲にしてでも、という気持ちは、ない。だけど、せめてもの償いに、私は守れるものは全て守ろうと思っていた。

……くだらないこだわりだ。
だけど、私だけが救われてはダメなのだ、という気持ちが私を支配していた。

「なぁ、バルクホルン。なんで私はあんたを置いていかなかったと思う?」

唐突に問われて、ゆるりと思考をめぐらせる。

「私が無茶すると思ったからじゃないのか?」
「まぁ、それもあるけど。私は『メロス』にはなりたくなかったのさ」
「メロス?」

突然の話の展開についていけず、復唱し、続きを促す。

「さすがのバルクホルン大尉も知らないか。扶桑では結構有名な話の主人公さ。カールスラントのシラーの詩を元にしているらしいぞ」
「シラーの……」

それでも、シャーリーの意図するところがわからず、疑問符を頭に飛ばす。

「あ、でもあの話は妹の結婚式に出るために友達が残ったんだったか。まぁ……残した友の無事を心配するよりは、一緒に戦いたかったのさ」

一人納得したようにシャーリーはうなずいた。
話の内容はわからない、だけど、それよりも引っかかる言葉があった。

「とも……」

呟いた瞬間、ふっと心に暖かいものが灯ったが、ざざ、とノイズに慌ててインカムに意識を集中する。
……ミーナの声だ。
ネウロイが倒れたことで通信が回復したらしい。

帰り次第報告すること、これから帰投することを伝えると、私は通信を切った。
声音だけでも心配していたことが伝わってくる。

「ミーナ中佐、心配してるな」
「そうだな……」

また、心配をかけてしまったな。

「でも、きっと帰ったら心配してた、って泣かれて、すぐに怒られるよ」

容易に想像できて私は苦笑いを浮かべた。

「まぁ、仕方ないさ」

そして、笑う。
するとシャーリーは立ち上がって私に手を差し伸べて、

「あんた、いい笑顔するようになったよ」

意表をつくようなことを言った。

「そうか?」

にやり、笑うと手を取って立ち上がった。

壊れたストライカーのせいでふらふらとしか飛べない私に貸してくれた肩。
それを素直に受け入れることが出来た自分に、少し驚きながら……私達は、私達を待っていてくれるあの場所へと、ともに進路を取った。


(fin.)


少し長くなってしまいましたがシャーゲルSSでした!
前編ではちょっと急展開になってしまったかなぁ、と思うのですが、とにかく今回特に書きたかったのは後編の部分です(`・ω・´)

シャーリーがゲルトを置いていくんじゃないか、と思ったのは、シャーリーがそうしたいからじゃなくて、ゲルトが強く説得したりしたらそういうのもありだなぁ…と!あと、シャーリーがゲルトを信じたから…とか、いろいろ書きたいことがあって目移りしてしまいましたw

ちなみにメロスのくだりはなんかシャーリー、メロスみたいだなーと思ってwi○iを調べたら載っていたので、流れ上ちょっと変化とは思いましたが、入れちゃいましたw





拍手返信です!

ヤンスさん
エイラーニャラジオ、ヤンスさんも聞きましたか!
歌を作ったり、占ったり、もう、腹筋崩壊させてくれる素敵ラジオですよね(爆)。もちろん、いい意味でw
ヤンスさんのメール読まれると良いですねー!私も送ってみようかな、、なんて…!
SSに関してご意見ありがとうございます!
私もヤンスさんが言ってくれた通りの考えでした…!なんか(言い方だったらすいません)自分と同じ考えということ、自分のSSから考えて意見をくださったことがすごく嬉しいです!!

コメントありがとうございました!!
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22:58  |  SW SS  |  トラックバック(0)

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