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2009.07.05 (Sun)

律澪SS『ある夏の日に』

けいおん!より…律澪のSSができたのでUPします。
小さい頃のお話です( `・ω・´)
タイトルの律澪か澪律かはどっちかわからないところです(笑)

今書きあげて、そのまま出かけるので、ちょっと見直しまだだったり。。
変なところあったらフィーリングで読み解いてくださいw

続きからどうぞっ
【More・・・】






小さいときの話。
律はみんなのヒーローだった。
女の子にも男の子にも好かれ、周りにはいつも人がたくさんいた。
なのに、律はことあるごとに私に絡んできた。いつもひとりぼっちだった私なんかに。
目立つことが嫌な私は、そんなヒーローのいたずらが嫌だった。




『ある夏の日に』




その日もヒーローは気まぐれを起こしたかのように私の家までやってきた。


「澪ちゃーん!  おいしいスイカが家にあるんだ、食べに来ない?」
「い、いいよ別に……」


家の扉から半分身を出してそう答え断ろうとする私を、母はにっこり笑顔で家から押し出した。
思えば母にとってはずっと家の中にいる私に外へ連れだしてくれる友達が現れて安心したのかもしれなかった。

でも、その時の私は母に見捨てられたのだと思って、律に手を引かれて行く家までの道はずっとアスファルトに目を落としていた。




突然、律が足を止める。
見上げると一軒の家の前に来ていた。

「着いたよ!」
「うん……」

そういえば、律の家に行くのはこれが初めてかもしれない。
引き戸が印象に残る、和の色の強い家だった。


リビングに通され丈の低いテーブルの脇に用意された座布団に座った。
律はキッチンに入ってスイカの用意をし始めた。
自分の家とは違う空気に緊張しながらも、ぐるり、視線を巡らす。


木目が品良く見えるダークブラウンのテーブルの上にかけられたテーブルクロス。
それにかわいらしい手作りとおぼしき刺繍がされた座布団。


和風の家に合うように気配りもされていてよりよく見えた。


そのどれもが律のイメージと離れているのにどこか連想させるように感じる。
お母さんがこういった趣味を持っているんだろうか、それは是非お話してみたい、なんて妄想を膨らませる。


しかし、残念なことに家の中に私と律の気配以外なかった。出かけているのだろうか。


さらに視線を巡らせると、窓辺に作られた小さなスペースに写真たてがたくさん並べてあるのが目に入った。

こんな風に人の家をじろじろ見回すのはあまり品がいいとは言えないが、当の律がキッチンにはいったまま出てこないのだから仕方ない。


立ち上がって写真たてに近づくと、律の笑顔がそこにはたくさんあった。
今よりもっと小さい頃。家庭用のプールに浸かって楽しそうにカメラにピースサイン。
幼稚園の時の運動会だろうか、1位のは他の前で胸を張っている写真もあった。


その中でも、とびっきりの笑顔を向けている写真があった。
小さな、生まれたての赤ちゃんと一緒に笑っている写真。
手に取ってみる。

すると、先ほどまで鳴っていた食器や戸棚をひっかき回すような、格闘しているらしい音が止み、律がキッチンから姿を現した。


「ごめんごめんー! スプーンがなかなか見つからなくてさ……あ」
「……弟?」


写真を見せつつ笑うと、律は少し顔を曇らせてうん、と答えた。
写真の中の律はこんなにすてきな笑顔を浮かべているのに、目の前の律はなぜ、こんな表情を浮かべているのだろうと何か引っかかった。


「律ちゃん?」
「さー、とりあえずスイカ食べようぜ!」


さっきまでの空気を振り払うようにして律は手に持っていたお皿一杯のスイカを私に見せるようにして持ち上げた。
何か無理をしていることはわかったが、律の気持ちを汲んでそのままテーブルに着いた。






「おいしいね」
「うん」


食べ始めたはいいものの、律の反応が鈍い。さっきからうんとかあーとか気の抜けた返事ばっかりだ。
意を決して私は聞いてみることにした。


「何かあったの?」
「……」


言おうか言うまいか躊躇する空気、でも私は確信する、きっと私に聞いてもらいたくてスイカを口実に私を呼びだしたんだと。


「あの、ね……実は」


律曰く。
まだ小さい弟が急に体調が悪くなって病院に行っていて、お母さんが付き添いでいないらしい。
お父さんが夜になれば家に帰ってくるらしいけど……。


「だって……私、お姉ちゃんだもん。お母さん困らせちゃいけないと思って……」


だから、一緒に病院に行きたいとは言えずに留守番を決めたらしい。


「そう……えらかったね」


そう言って律の頭をなでると律は無言でされるがままになっていた。




そうして、沈黙のまま、スプーンを進める。
傍らの律は丸かじりなので、種は飲み込まないのだろうか、と不思議で、そして同時にすごいなと思っていた。
先ほどまでの空気を変えようと、話しかける。


「律ちゃんはすごいね、スイカの種、こわくないの?」
「んー、でも、お母さんがスイカはかぶりつくのが1番美味しいのよ、って言ってたから、私はこの食べ方が1番好きかな」
「へぇ……」


私の感嘆を受けて、ヒーローは挑むような笑顔を見せた。


「澪ちゃんもかじりついてみなよ、絶対おいしいから」
「え……でも……」
「そっか、澪ちゃんはこわがりだもんね、無理かなぁ」


そう言ってかぶりついて、ちらり、とこちらを見る。


「こんなにおいしいのになぁ」

聞えよがしの言葉に私の反骨心に火がついた。

「できるもん!」

そう言って、スプーンを置き、ヤケになってかじりつく。
すると、スプーンで食べるよりも果実の新鮮味を楽しむことができて。


「……ほんとうだぁ、おいしい」


思わずこぼれた私の言葉に、律はだろー?と、笑顔をこぼした。


怖いけれど、おいしい。
文字通り味をしめた私はもう一口、かじりついた。
やはり、果実の新鮮味が伝わってくる、と同時に。


ガリッ


その感触にあわてると、そのままそれを嚥下してしまった。


さぁ、と顔から血の気が引く。
おろおろしている私に、律はどうしたんだ、と焦ったように声をかけた。


「ど、どうしよう、私、種飲み込んじゃった!!」
「え!!」


律は私のお腹に目線を落とし、また私の顔へと戻した。


「どうしよう、お腹からスイカが生えてきちゃうよ……!」


だって種は芽が出てくるものだから。
どうしよう、どうしよう。

大丈夫、そんなことないよ、と大人からも友達からも言われたことがある。
だから、律も子供みたいな考えの私をてっきりからかうと思っていた。

反応は予想に反したものだった。


「ど、ど、ど、どうしよう! 澪ちゃんからスイカ生えてきちゃう!」


一緒に、慌てる律の姿にそっか、あわててもいいんだなんて少し変な考えが生まれる。


「きゅ、救急車……? ど、どうやって呼ぶんだろう、いや、それより病院に連れて行った方が、
お、お母さんに連絡……どうやって? とりあえず消毒、消毒だな!!」


慌てている、ヒーローが。
そして、キッチンに駆け込むと、律は消毒液を手にして戻ってきた。
完全に混乱していることがうかがえる表情と、その手にしたものに、私はおそれおののいた。



種を飲み込んでしまったわけで。

けがなんてどこもしてないわけで。

そして、飲みこんだ先がお腹である以上、律のこれから先の行動は予想するにも容易かった。



「ちょ、ちょっとまって、律ちゃん! それは絶対、飲んだりしたらだめだと思う!」
「澪ちゃん、これも澪ちゃんのためなんだよ」


消毒液で種がどうにかなるはずがない、考え直してほしい。

それでも力ずくで「私のため」に消毒液を口に持ってくる律に、精一杯の抵抗をしている時だった。


ガチャン。


私にとって救いの音がした。


「ただいまー。 ……律? りつー? いないのー?」


女性の声に我に返ったかのように律は玄関へと走り出した。

突然の展開についていけないまま、リビングで少し胸をなでおろしていると、女性がリビングへと入ってきた。
足にしがみついてくる律を引きずるようにして、そして腕の中には小さな赤ちゃんを抱いたその人は律のお母さんだとすぐにわかった。







その後、律のお母さんは思いっきり律をしかり、私に向き合った。

「ごめんなさいね、この子ったら」

先ほどまでの叱りつけはどこへやら、柔らかい物腰にこちらのほうが居住まいを正すことになった。

弟くんはただの風邪で済んだようで、でもあまりうるさくしても良くないだろうと、その日は家へと帰ることにした。




***



「……と、まぁ、小さい頃の思い出って言ったらこれが1番強烈だったかな」

小さい頃の話を聞きたい、と言う唯とムギと梓にこういって私はこの話を締めくくった。


「なんというか……『律先輩』って感じがします」
「ねー、ほんと」


率直な梓の意見に、唯が同意をしめした。
ムギはいつもより一層、笑顔を見せているように見えた。
律は、というと。
何か震えていると思ったら突然私の方に指を突き出して見せた。
こら、人に指をさしちゃいけません、ってならわなかったのか。

「ねつ造だ!!!!」
「言うに事欠いてそれか、お前!」

全部事実じゃないか。
呆れてあしらって、他の3人に言い訳を始めた律を横目で見る。



まだ話は終わってないのにな、と思いながらあの時のことを思い出す。
あのあと、私は家までの道が分からないと困るだろう、ということで律に家まで送ってもらった。
ずっと気になっていたことをこの帰り道になって私は切り出した。


「そういえば…なんで私を呼んだの?」


他にも友達はいるのに、と心の中で思いながら聞くと、頭の脇で手を組んでにーっと笑って律の答えることには。

「だって私たち、親友だろ!」
「……!」

その言葉に赤面する。
言葉が出てこない。

「あー赤くなったー!澪ちゃんはやっぱりすぐ赤くなるなー!」

いたずらっぽい笑顔が私の顔をのぞいてきた。

「こっの、律ー!!からかうな!」

すると。
いたずら笑顔は驚き顔になり。みるみる赤くなっていった。

「な、なんだよ」
「な、なんでもないよ!」

この場面で赤面する意味が分からなくて混乱する。

「また明日な、『澪』!」

そう挨拶してその日別れた。
気づけば。
あの日が、初めてお互いに呼び捨てにした日だった。


それはまぁ……言わなくてもいいか。と私は思いなおしてもう1度、律のことを見つめた。

(fin.)


こんな律澪だったらいいなと思いました…!

感想あったら…是非お願いします( `・ω・´)






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